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写 真
解 説
19.8.18 (15) 専用のチェッカーと専用のやすり台を作って、内側の形状が均一になるように微調整を行いました。
(15)
内側形状の微調整
19.8.18  内部の傾斜を調べる型紙を作りました。
 写真右側の木口側の傾斜の具合が気に入りましたし、同時にこの部分が傾斜が一番きつかったので、ここを基準にすることにしました。この場所にあわせて型紙を作りました。
 これを、アルミのLアングルにとりつけ、ぐるっと回していけば傾斜の凹凸が分かるわけです。

 
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 上の写真のアップです。
 下側に少し隙間が見えますが、紙が少しよれているせいです。実際はぴったりです。
 木鉢の縁に"12"と書いていますのは、時計の12時という意味です。
 (12時と6時の箇所は、概ねぴったりでした。(ほぼ同じ形状でした。))

 これを1時、2時、3時…とまわしながら、隙間を見ていくわけです。
 3時付近の状況です。
 傾斜の中ごろが少し出っ張っています。
 この付近は5分刻み位に型紙を少しずつまわしながら、不一致部分を探して行き、削るべきエリアを決めれば良いわけです。
 削るのは、サンドペーパーを主用しています。
 当初は、テニスボールを使ったり、手先をそのまま使ったりしておりましたが、これらのやり方は、木鉢側を"点"で押さえることになりますので大きな不具合が出ます。それは、木目の硬い部分とやわらかい部分で削られる量が異なってしまうために、表面に、木目に応じた凹凸が出てしまうということです。
 やはり、硬い平面の土台があった方が良いようです。そこで、写真のような専用工具を作りました。木片の片面に軽いアールがかけてあります。(アールは、縁の内側の曲線にあわせました。)
 これを使ってできるだけ大きなストロークでこすっていけば小さな凸凹はできません。
19.8.19 (16) 極く極くわずかですがひびが発生しました。
(16)
ひび再発、工事中断
19.8.19  長さ1〜2cm程度で、幅は毛筋ほどのひびが4〜5本、発生しました。よーく見ないと分からないほどですが、ひび割れの兆候です。
 乾燥が内部まで終わっていないということだと思われます。
 原木を裁断した木工所の親方の話では、乾燥には半年以上かかるということでした。第一段階の成型が5月の連休ですから、11月過ぎが乾燥終わりの目安です。そうだとすれば、作業を少し急ぎすぎたかもしれません。
 以後は、削りの作業を少しづつ行いながら気長に乾燥を待つことにします。

 写真は、ホッチキスを少し打って、ティッシュの張り紙をしたとろです。
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19.9.9 (17) 紙やすり作業専用工具を作って作業の効率化を図っています。徐々に徐々に仕上げ作業に入ってきました。

(17)紙やすり作業専用工具

19.9.9

 やすり掛け専用工具の種類をひとつ追加しました。
 左が前回作ったものですが、カーブの曲率が大きいので、曲面に合わない部分があります。それで、右のような曲率の小さい専用工具を作りました。
 紙やすりを装着するのに押しピンを使っています。
 今のところ快調です。

 やすりを掛けていて、木鉢の内側の所々に小さな窪みが発生しているのがわかります。手斧(ちょうな)か丸のみで掘り過ぎた部分です。見た目には気になりませんが、手で触るとその部分が急激に窪んでいる感じがしまして、とても気になっています。なんとか、これらを無くそうとしていますが、そこだけを引っ込ませるわけに行かず全体との兼ね合いが必要となりますから苦労しています。
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 裏側の高台部分を削るための工具?です。
 高台の断面の形を、先を広く奥を狭くして、指先で持ちやすくしようと思っています。そのために、(写真の)やすりが当たっている部分をえぐりとろうという訳です。
19.10.6  (18) まだまだ"ひび"が発生します。乾燥が終わりません。

(18)未だ乾燥終わらず

19.10.6

 だいたいの形が出来上がって5ヶ月が経ちましたが、乾燥はまだ終わっていません。
 
 このところ、暇を見つけて、少しづつ削りの作業をやっています。使っている道具は、紙やすりですが、削りくずを触ると、まだしっとりしています。特に、木の赤身の部分はそれが顕著です。
 この木鉢を保管しているのは、室外にある戸棚の中ですから、乾燥のペースは確実に遅いと思います。これを戸棚から取り出して作業をするわけですが、作業中、3箇所にひびが発生しました。 
 
 原因は、
 @内部の乾燥が終わっておらず、削りの作業をしたことで、その部分が表面近くに現れた。。
 Aそこに風が当たって表面のみの急激な乾燥が起こった。

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 写真は、ひびの発生に対する処置状況です。

 写真左側の濃い白色は、8月19日に貼り付けたティッシュペーパーです。
 写真の中央が今回の処置。
 ホッチキスでかすがいをして、ティッシュを糊つけした直後です。(糊がまだ乾いていません。)
19.10.8 (19) 徐々に内部の仕上げをしています。

(19)徐々に内部仕上げ

19.10.8

 少しづつ、内部の仕上げを始めました。

 写真の特製紙やすりホルダーを使って、削っていくのですが、できるだけ大きなストロークで、少しずつ鉢を回天させながら、なおかつ、方向を変えて行います。
 内面がきれいな曲面であれば、紙やすりホルダーはスムーズに動いていきますが、やはり微妙な凸凹がありますから、削っていると手元にその感触が伝わってきます。

 局部的な小さい凹部が、数箇所あるのですが、これらは手でなでていくとものすごくよくわかります。手の感覚というのは本当にすごいでねぇ。

 最終的に、つやのある赤の漆を塗るつもりですから、凸凹があると多分はっきり分かると思います。そこで、小さい凸凹は徹底的に削り取るつもりです。(大きなゆがみは見た目に分かりにくいので、それは良しとします。)

 そろそろ、外側の成型を本格的に始めたいと思っています。
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19.10.28 (20) 糸底(高台)の線をほぼ決定しました。

(20)糸底

19.10.28

 糸底というのは、高台のうちテーブルに接する面をいいます。写真で上を向いている部分です。
 今日、この部分を調整したのは、この面が傾いていることが分かったからです。大きいところで3mmほどでしたので、最初にかんなで荒削りして、やすりをかけることにしました。
 写真は、やすりかけを終わって概ねきれいになったところです。
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 やすりかけに際しては、写真のように、平らな板の上に紙やすりをガムテープで留めて、この上に鉢を置いて回転させることで、平面が出るようにしました。(下の写真)
 鉢の縁を両手で持って、ぐるぐると回します。
 小1時間ほどで、概ね所望の結果が得られました。
 これまで、できるだけゆっくりと乾燥するように、屋外の戸棚の中に入れておいたのですが、乾燥が非常に遅いし、匂いもあまりしなくなりましたので室内におくことにしました。10月8日からです。
 写真には、ゴムバンドがかけてあります。
 これは、当初の見込んでいた収縮分の2cmが、それほどでなく、現時点で、あと9mmほど残っているからです。(この分、早く収縮するようにと。)

 また、この時点で重量を測りましたら7.2kgでした。
19.11.18 (21) 口縁の線を決めました

(21)口縁

19.11.18

 糸底の線は、良く調べてみるとゆるい凹凸がありました。そこで、もう一度きちんとした線を出すことにしました。
 半間×1間のベニヤ板を準備しまして、これを水平の基準にしました。
 やすりは、200番程度のものを4枚、写真のようにガムテープで貼り付けて、このガムテームに掛からない様に、底の部分をすり合わせれば良いわけです。
 かなり良い線が出ました。

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  次にこの状態で、指矩(さしがね)を使って、改めて口縁までの高さを全周にわたって計ってみると、高いところと低いところでは4mmの差がありました。こうなった原因は、電気かんなを使って削ったときに出来たものです。気持ちの良さに任せて漫然と削ったからです。
 そこで、まず、かんなで高い部分を削りました。
 逆目にならないように、木目を見ながら慎重に削りました。(それでも、結果的には、削りやすい部分を少し削りすぎてしましました。)
 かんなかけの後、写真のようにしてやすりをかけました。
 黒の矢印のように前後の運動をしながら、赤の矢印のように徐々に回転させていきます。続けてやると意外と疲れましたので、3回位に分けて休憩を入れながら行いました。
 サンドペーパーは200番くらいでしたが、結構きれいな面になりました。
 一応完成の写真です。
 面もきれいですが、内側の面と交わる線がくっきりと気持ちよく出ました。

 今日は大変満足。
 
 次はいよいよ、外側の形を整えていく作業です。
 まず型紙を作って、これにあわせての作業にしたいと思っています。
 
20.5.2 (22) 外側の成型

(22)外形

20.5.2

  間があいてしまいましたが、暇を見てはすこしづづ削っていました。
 
 成型については、そろそろ最後の仕上げ段階に入って来ました。
 そこで、厚さを確認する必要から、その辺にあまっていた端材を使って写真のようなコンパスを作りました。

 もっと最初の段階で作っていても良かった、と思いました。
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 特製コンパスを使って、厚みを見ているところです。
 
 大体32〜33ミリくらいの厚さになっています。
 あと2、3ミリ削っても良いのですが、力つきました。
 仕上げの作業を平行してやりましたので、削ると、もう一度仕上げをやらなければならなくなるからです。
 ここでいう「仕上げ」とは、単に磨くのではなく、曲面をきれいに出すことを含みます。きれいに削ったつもりでも表面は意外と波打っているのですね。
 仕上げの段階で活躍したのが、写真のやすりホルダーです。
 持ちやすく、接触面にはラバーが張ってありますので、材料に対して適度な当たり方になります。
 
 これで、鉢の局面を、できるだけ直線ストロークを大きくして満遍なくこすってやります。

 続けてやっていると、表面の波打った箇所がこのホルダーを通じて、手に伝わってきますので、その部分を重点的にこすってやれば良いわけです。

 番手の80番で、まず波打ち部分を削り取り、次に280番で細かい筋(傷)を取る、という段取りです。最後は、400番くらいで良いように思われます。
20.5.31 (23) 成型完了

(23)成型完了

20.5.31


 一応これで、成型は完成ということにしました。
 あと少し薄くしても良いのですが、そんなに大きく軽くなるということはないでしょうし、きりがありません。

 最後は320番で磨きました。
 口縁(こうえん)の部分はピカピカになりましたが、胴体外側には少し細かい擦り傷が残っています。

 塗りは、全体に柿渋を塗り、内側のみに朱漆を塗る予定です。

 諸元は次の通りです。
 外径 長;612 短;603
 内径 長;543 短;537
 高さ  200
 深さ  165
 重量 6.3k
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 細い筋状の「ひび」が放射状に発生しています。
 かれこれ1年以上経つのですが、まだひびとの戦いは終わりません。
 
 柿渋を塗ったら、表面の乾燥はとまるのでしょうか。  
20.6.21 (24) 成型作業続行

(24)成型作業続行

20.6.21


 やっぱり、気になったので、成型作業を続行しました。
 遠くから全体を眺めると、左右の張りが異なっている部分があるのと、凹凸が少し残っている部分があったからです。
 
 写真は、一応作業完了。
 だいぶよくなりました。

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 例の厚み測定用コンパスです。
 右の写真は、厚みを計っている所です。 ただし、気をつけないと本体に傷を付けてしまいますので、軽く当てる必要がありました。
 そろそろ最終段階に入っているので、この辺は慎重にしなければなりません。

 コンパスで計って、厚みのある部分を鉛筆でマーキングしたところです。
 このように、その都度鉛筆などで記入していくと作業が確実で楽です。
20.7.27 (25) 加飾(蕎麦打ちする龍)

(24)加飾(蕎麦打ちする龍)

20.7.27

 裏に製作者の名前を入れるついでに、龍を彫り込むことにしました。
 陶芸の文様に使っている例の龍なのですが、デッサンをしながら、こいつに麺棒を持たせたら面白いということに気が付き、俄然ファイトが沸いてきました。名前を入れるよりもこちらが主体になってしましました。
 写真は、仕上の終わった鉢にデッサンを載せてみたところです。

 ちなみに、鉢自体は、ほぼツルツルに磨きました。細かい擦り傷もなくしてやろうと意気込んだのですが、そこまでは行きませんでした。
 やはり、やすりがけというのは、番手の低い段階から慎重に行わなければいけないということです。最後にまとめて仕上げようというのはダメだ、ということが分かりました。常にキズに注意しながら作業をしなければならないということです。

 鉢の重量は6.2キロです。
 片手で持てます。
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 紙の裏に、絵の線にそって濃い鉛筆を塗りたくり、それを鉢に貼り付け堅いものでなぞれば、転写が出来ます。
 途中切れたりしていますから、もとのデッサンを見ながら補筆してやれば良いわけです。
 当初は、ミニルーターなるもので彫っていこうとしましたが、ささくれ立つし、勢いのある線になりません。そこで、結局は手彫りをすることにしました。
 最初、なれないうちは、先が思いやられましたが、なれてくると比較的スムースに彫り進んでいくことが出来ました。

 ポイントは、木目を見て、刃先が切り込まない方向に彫っていくということです。鉋と同じです。

 この際、作業台が非常に活躍しました。
 写真は次回掲載します。

 なお、この作業台は、全期間に渡って非常に重宝しました。勲1等です。


 彫りの完成です。
 文字も割りとうまく彫れました。
 作業をしながら、要領がつかめてきました。
 
 自平成十九年五月
 至     廿 年九月 としました。(うるし塗りを1ヶ月と見積もりました。)
 1年4ヶ月、やっとここまで来たなぁ。もの作りのうれしい瞬間です。

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