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19.2.18

鵜飼良平氏講演「手打ち蕎麦ブームとアマチュア蕎麦打ち家」

 鵜飼氏は上野「藪そば」三代当主で(社)日本麺類業団体連合会会長。興味深い講演でした。以下はその要旨です。

 最近蕎麦を打つ人が増え、あれこれ批評をする人が出てきた。批評される我々は生活を賭けたプロである。皆さんは遊び。素人があれこれ気軽に言わないで欲しい。その一言で口コミが広がってつぶれる蕎麦屋だってある。

<粉について>
 蕎麦はつまるところ、原料。素人もプロも結局そこに行き着く。ところが、粉は国内で3万トンしか作られておらず、13万トンが輸入(うち中国8万トン)である。どこの蕎麦屋も国産をうたっているが、あり得ないこと。ただし、外国産=粗悪品というのではない。例えば、某粉屋が夏場の端境期にタスマニアで粉を作らせて輸入しているケースもある。(4月〜5月、習志野 白鳥製粉)
かわり蕎麦は、この夏の端境期の保存能力を維持できない時代に良く作られていた。今は、夏場でも比較的良い粉をてに入れることができる。
 三たてという言葉があるが、本当は四たてと考えるべき。(採れたて、挽きたて、打ちたて、茹でたて)

<技術について>
 水回しは、手に水がつかないようにする。(まず、良くまぶす?)
 プロとアマは製麺までは同じだが、プロは茹でが違う。茹で時間は、加水量、太さ、割り粉の量などによって異なる。その表われとして、蕎麦やの職制の中で釜前(かままえ)が一番に位置づけられている。
 250gの量では3L以上の湯が必要。湯が少ない状態は煮るという。鍋の中心をずらして火を当てれば湯が回転し隅に麺が溜まるというようなことがない。

<洗う>
 最初に面水(つらみず)をかける。最初の水はいったん手に受け止めて散らすようにしてかける。一箇所に集中するとそこだけが硬くなる。
 ぬめりが取れるように洗う。
 洗うときは、手の内側が麺に当たるようにする。間違っても手の甲を使ってはならない。これは手の内側が敏感であるからである。なお、これは水回しの時にも言える。

<盛り付け>
 一口サイズを持ち上げて器にぱらぱらと落とす感じ。四角の器の場合は、四隅に落として最後に中央に、など。

<つゆ>
 うどんと違って、麺に付着した打ち粉が湯の中に落ちることで(打ち粉のサイズの)凹凸が麺の表面に出来る。これに汁がからむのである。
 返しの作り方には2種類あって、生返しと本返しである。やぶ系が生返し、さらしな系が本返しである。返しはいろいろな料理に使える。照り焼きなどでは、そのままつけておいて焼く。焼き鳥などでは、砂糖・みりんを再度加えて少しどろりとさせた状態にして使う。

<食べ方>
 汁を少し口に含んで味わう。
 蕎麦を少量手にとって香りをかいで、そのまま食べてみる。
 そば前(お酒)を飲む際、猪口に一杯ほど残しておく。蕎麦が早く来て、乾いたとしても箸にたらしながら麺にかけまわしてほぐせば良い。

等々。
やや取り留めのない内容でしたが、参考になることの多いお話でした。

19.2.1

二段合格、銅メダル

 1月26日に段位認定の大会が行なわれました。
 私は、今回2段位試験を受験を致しました。
 受験者45名、2段合格者33名でした。合格率73%の比較的厳しい試験でした。

 2段位の技能基準は、
・蕎麦粉1s(蕎麦粉800g、小麦粉200g)を40分以内に打ち終わる。
・出来上がりの麺が70%以上の割合で一定に切りそろえられており、蕎麦を持ち上げても23pくらいにつながっている。等など、です。

 段位認定の大会は、一種の競技会ともいえます。いい歳をしたおっさんやおばさんたちが真面目な顔をして蕎麦を打つのですが、子供の頃の運動会のような緊張感を味あうことが出来ますし、なんといっても技術が確実に向上しますね。

 ちなみに、主催は全国麺類文化地域間交流推進協議会(会長北海道幌加内町長)というところです。18年11月25日現在、全国に初段が2009人、2段1357人、3段483人、4段82人だそうです。
 次は3段に、そしてその先は4段に‥。張りが出ていいもんですよ。


 受験中の私の後姿です。
 当日、妻と娘(二人)が応援に来てくれまして、後ろから無言の声援をおくってくれました(アドバイスなどを受けると減点になります)。

 写真は、「切り」の作業を行なっているところでして、切り終わった蕎麦を持って打ち粉を払っているところです。
 テレビカメラがやってきたのは解りましたが、全く動じませんでした。余裕があったからではなく、時間が迫ってきたので、それどころではなかったのです。

 振り返ると、出だしがスムーズでしたので、中段の作業を丁寧にしようとやや時間をかけ過ぎたために、全体的に時間が不足してしまいました。(なんとか40分には収まりましたが。)


 打ち終わった私の蕎麦です。
 やや細麺ですが、切りそろえ率70%は十分にクリアしています。

 妻と娘は、一番きれいだったと言ってくれました。

 二段位の認定証と銅メダルです。

 歳をとっても、ほめてもらうのは素直にうれしいものです。
 山本元帥もおっしゃっています。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ。」
 至言ですね。

 

19.1.21

加水直後の処置

 蕎麦打ち作業の中で最も肝心なのが水回しですが、その中でも重要なのは、第1回加水の直後に粉と水をしっかりと合わせることです。通常は、そこそこに合わせたところで直ぐに攪拌の作業を始めるのですが、こうするとどうしてもダマが残りやすいようです。そして、一旦ダマになるとなかなかそれを崩すことができません。ダマはまとまった水分を含んでいることから、その分、水が均一に回らず、最終的に美味しいそばになる要件を一つ失うことになります。

 

19.1.7

二段位に向けて模擬テスト

 本日は一段とオタク系の記事です。

 今月27日に昇段試験を受験する予定です。
 えーっ、蕎麦打ちに段位??
 味の世界に段位というのはなじまないのでは、という否定的な意見もありますが、私は、技術向上のためには結構なことだと思っています。ちなみに、カラオケにも段位というのがあるそうでして、私の知人に師範格の方がおられます。これはこれでいいんじゃない?と私は思いますね。まさに個人の趣味の世界ですからね。(それにしても一度その方の歌をお聴きしたものです。)

 さて、本日は日曜日ですが、午後から道場で昇段模擬試験を会長ほかの皆さんにやって頂きました。以下、指摘事項(自戒も含む)です。

■全般
 ・動作を大きくゆったりと。せこせこした動作は不可。細かいテクニックに走ってはダメ。
 ・片付けや掃除はその都度実施。目に付くところ(例えば鉢の縁)は常にきれいに。
  <ある種、競技ですから、印象が大事ということです。>
■水まわし
 ・水は中央部に400cc-。その外周から少しづつ粉と水を接させるような感じで回す。
 ・大きく適度の速度で回す。早すぎると雑に見える。「大きく」が肝要。
 ・上記の段階では指先にあまり力を入れる必要はない。
 ・第1回加水で、薄緑色に、細かい粒でしっとりと変色するような状態に持っていく。
 ・玉を作りながら、鉢の中を掃除するつもりで。纏めたら鉢が綺麗になっている位。
 <底が平たい鉢を使う予定ですが、早めに加水をしていかないと乾燥が早く来て、まとまりが悪いようです。ここで、早めに終わらせると、あと心の余裕が出来ます。>
■練り(目標;ここまで概ね10分)
 ・玉を立てて上から押しつぶす感じ。リズム良く、あまり早くならないように。
 <陶芸での菊練要領とほぼ同じなので、割と手早く綺麗に出来ます。>
■地延し
 ・より均一に。φ=30p+。
 <大体綺麗に作れると自負していたのですが、悪いという講評でした。心しなければなりません。>
■丸出し(目標サイズφ=60p+)
 ・力の掛け方は左右均等。
 <一箇所がいつも薄くなります。それで、その薄さに他をあわせるという余分な作業が出てくるのです。>
■角出し
 ・適度な長さの小判型を作るために、生地の硬さに応じた回数を念頭にして。
 ・良ーく形を観察しながら。
■肉分け
 ・力強く、肉をじわーっと押し出す感じの、所要の動作をする。肉を分けているのか延しているのか分からないようなのはだめ。
 ・時間を掛けすぎる。(延しの作業が含まっているから)
■延し
 ・全体に大きくゆっくりと。
 ・上端と下端はどうせ屑になるのだから丁寧にやる必要はない。
 ・ ちょこちょこした動作で上下端を修正するような動作は絶対に不可(要すれば一番最後に)。
 ・中央部分が薄くなり勝ち。重複して延している可能性極めて大。
 ・「たたみ」の際、押さえつけて上下をあわせる動作をしない。
 <ここは特にゆったりした動作が必要。上下端もゆったりと、大きくそろえるつもりで処理することが必要。>
■切り
 ・切りそろえ率を良くする。全体を一定に。最初と最後を同じに。最後まで緊張感を持って。
 ・一束の本数は35本くらいにする。少ないとそれだけ手間がかかる。
 ・最後の段階になったら特に丁寧な作業にすることが非常に大事。
 ・左手の押さえは適当な力で。Yaw方向のブレを防ぐ。軽く押さえるのは不可。
 ・先端は切りそろえて、粉を払う時にその部分がばらけないようにして舟に置く。
■生舟への収納
 ・束は直線になるように、手さばきに留意
 ・横一列で収まるように、半分切った頃に舟をゆすって蕎麦の列を詰める。最後にゆすっても動かし難い。

 

18.12.23

ボランティア3(埼玉県立養護施設上里学園)

 我が倶楽部の今年最後のボランティアです。行きました先は児童養護施設上里学園という、親の無いあるいは親による養育を受けられなくなった子供たちのための施設でして、倶楽部として訪問するのは今年で9回目です。
 子供たちも楽しみにしてくれておりまして、今年も「お変わり自由」に対応できるように300食分の蕎麦を打ちました。
 写真のように、場所の関係で講堂を2つに分けて、こちら側で蕎麦打ち、向こう側ではマジックショーという構成でした。
 このマジックショーが始まる前には、子供達に蕎麦打ちの見学をして貰いましたが、子供達が大変元気ではしゃいでおりまして、一同、複雑な気持ちでありました。


 会長と名誉会長からのクリスマスプレゼントの贈呈セレモニーです。
 まるで普通の小学校にいるような雰囲気でしたが、実は、子供たちはこの施設内で生活をしているわけです。
 子供たちの数は、10年ほど前は約80名であったのが年々増加し、現在140名だそうです。家庭での虐待などによりこの施設に収容されるケースが増えているそうでして、少子化とは逆の傾向になっております。
 残念ながら世相を表すバロメータになっている訳です。
 仲間の誰か「俺は、本当はここに来たくない。でも、来なくちゃいけないんだ。」ともらしていましたが、本当にそんな気持ちです。
 なお、我が倶楽部は毎年会費を払って上里学園の後援会に入っていることを後で聞きましたが、それを知って大変うれしく思いました。


 ここでは、施設内の厨房を使わせて貰っています。
 お湯がたっぷり。
 プロの蕎麦屋にもこの量でやっているところは、あまりないのではないでしょうか。
 「釜前(かままえ)」担当の○塚さんも気合が入っておりました。
 
 揚げ笊(ざる)ではなく、大き目の普通の笊を使ってオペレーションです。
 臨機応変。
 大事なことです。
 
 今日のメニュー。
 左上は、蕎麦稲荷。
 右上は天ぷら。
 その下は、そばゼリー。
 メインは、大盛りのざる。

 蕎麦稲荷というのを初めて食べましたが、美味しかったですねぇ。
 


<今日の私の蕎麦打ちについて>
 300食を10人程で打つということで、私は1キロを3玉連続して打ちました。
 非常に良い訓練になりました。
 反省点としては、
 @もう少し切り幅を大きくすること。
  このために、「角出し(つのだし)」をもう少し大きめにすることが必要です。
 A「丸出し」の厚みを均一にすること。
  概ね直径60pになるころに手で厚みを測ると、いつも一部が少し薄いのです。このために、そこを基準して、それ以外の部分を薄くしなければならなくなり、手間が増えてしまいます。
  この原因は、丸出しの最初の段階にあるように思われます。私の動作の一部になんらかの偏りがあるために、ある部分分が他より多く延されているのです。
  通常丸出しの動作では、生地を約30度程度ずつ回転させながら延していくのですが、どこまで回したか途中わからなくなってしまい、生地の回転が360度に至っていないか、または360度を超えているものと思われます。このため、生地の厚さが不均一になるのではないでしょうか。
  改善案として、このようにちびちび回すのではなく、思い切って120度で3回延すようにすれば、3回という解りやすい数字によって360度の回転をきっちり確保することが出きますし、均一性も高まるように思われます。さらには、1周した後、30度回転させてそこから更に120度づつ3回延す、という動作を加えたら一層良いような気がします。
 B本延しの際に、上下の直線部分の成形に手間を掛けすぎる。
  いじっていくと、直線になりはしますが、いじった分薄くなってしまうし、時間を食ってしまいます。こうして丁寧にしてもその割りに効果は少なく、「切り」の際に結局、ハギレは出てしまうのですね。手早く、ざっとそろえてサッと切り上げるようにしたが良いようです。

  

 

18.12.17

「かえし」作りにトライ

 蕎麦を打つ方は何とか格好がつくようになりましたので、次は「麺汁(つゆ)」つくりにトライすることにしました。
 今日は日曜日。
 まず、「かえし」を作ることにしました。
■材料は、
・醤油1.8リットル(国産丸大豆使用の金笛醤油。先日、これを作っている工場の見学をしました。)
・砂糖240g(今日は、家にあった三温糖。)
・みりん360cc
・日本酒120cc
■作り方は、
@みりん、日本酒と砂糖を中火で加熱。アルコールを飛ばして、砂糖を完全に溶かす。
A醤油を入れて中火で加熱。
 見込み違いで鍋が小さかったです。何もなければ問題ありませんが、トラブルの要因です。


B沸騰前に火を止める。絶対に沸騰させない。
 温度は85℃が目安だそうですが、温度計がないので、感で測ることにしました。表面を見ていると、写真のような状態になって、小さな泡が出始めます。多分、この辺が85℃(と信じることにしました)。
 今度、温度計を買おう。
 

 
 冷ましたところで、今日のこの日のために作っておいた、自作の専用甕(かめ)に入れて、冷暗所にて最低1週間以上寝かせます。週に1度くらい底か静かにかき混ぜると良いそうです。

 この「かえし」専用甕は先週出来上がったものですが、作成の過程で片側の取っ手を誤って欠いてしまいました。これはこれでしばらく使って、改良を加えてまた新しく作ることにします。

 

18.12.16

ボランティア2(知的障害者通所授産施設かやの木作業所)

 今月はボランティアが続きます。
 本日は、さいたま市にあります上記の施設のお祭りに蕎麦屋を出店し、そのお祭りを盛り上げようというものです。
 250食が目標でしたが、160食という戦果でした。純益はめでたく施設側に提供できました。

 左の写真は、薬味用のネギを切り終わり、水で軽くさらしたところです。苦味をとるためということです。
 イベント終了時にこれがほぼなくなりました。

 左の写真は、出張用道具の一部です。
 ひとりが蕎麦一食分を食べる時間は、10分程度ですが、道具の準備段階から考えると相当な労力が必要です。
 私達は素人のボランティアですので労賃は0円です。商売では絶対にできるものではありません。


 本日の私の役回りは、「洗い(茹でた蕎麦を水洗いする)」でした。約4時間、洗いに洗い続けました。

 

18.12.10

ボランティア1(軽費老人ホーム「ウエルガーデンコスモス」)

 本朝5時起きにて、ボランティアに行って参りました。
 行った先は、鴻巣市にある軽費老人ホーム「ウエルガーデンコスモス」。  御老人方約50名、職員そのほか30名に対して蕎麦打ちのサービスです。
 献立は、柚子切り蕎麦、天ぷら蕎麦、お変わり自由。
 小生、蕎麦2キロを打たせて貰いました。角出しが不十分でやや短めの蕎麦でしたが、それを除けばまずまずの出来であったと思います。
 おじいさん、おばあさん(おばあさんの方が圧倒的に多い)に喜んで頂きました。
 
 写真は、茹で作業開始前の状態。
 

 

18.11.23

駒板型のキーホルダー

 駒板型のキーホルダーです。
 いかがでしょうか。
 ○貫さんが、駒板が大きいので切りたいというので、不肖私めが得意の?木工技術を駆使してカットをして差し上げることにしました。
 そのハギレで作ったのがこのキーホルダーです。

 左がもとの駒板でして、長辺が37p、短辺が30pありました。それを標準的なサイズに、写真のようにカットしました。カット後は、紙やすりで調整をして出来上がり。
 
 その後、左下の部分を見ながら、思いついたのが、上のキーホルダー。
 われながら面白いと思いますが、○貫さんも喜んでくれるでしょうか。

 

18.11.15

水回しに満足の結果?

 やっとのことで、満足のいく水まわしを自分自身の意図によって行なうことができました。
 水が均等に行きわたり、ビーズ〜パチンコ程度の大きさの玉が鉢の中に形成されました。 いわゆる星と言われる白い粉の粒はいっさいありません。
練りの結果は、非常にきめ細かくてしっとりした生地になりました。その後の延しと切りも極めてスムーズにできましたし、茹で上がりの味、形ともに満足の行く状態でした。出来上がりの麺にもなんとなくつやがあるように思えたのは気のせいだったでしょうか。
 水回しがいかに重要であるかを改めて実感、体得できたと思います。

 水回しを行なう上でのポイントは、最初の段階における攪拌のスピード均一性です。
 スピードについては、短時間に終了できるように出来るだけ早く攪拌する。
 均一性については、鉢の中に常に目配りをして、攪拌が施されない部分が発生しないようにする。

(注;写真はイメージです)

 

18.11.3-4

今市そば祭り2006

 この時期になると各地で同じような催し物が行なわれます。新そばの時期に合わせて、地域の振興を図り、あわせて蕎麦好き日本人の欲求を満たそうという訳です。

 今市のそば祭りは6年前に始まったということでして、徐々に盛んになっているそうです。詳しいデータは不明ですが今年は11月2日(木)〜5日(日)の4日間、かなりの賑わいを見せております。出店数、訪れた人の数は相当なもので、会場になった「だいや公園」にひきも切らない人並みが終日続きました。
 
 私達のさいたま蕎麦打ち倶楽部も、連日30名の部員が受け持ち分担に従って、終日お蕎麦屋さんをやった訳です。(写真は、開店前の準備作業中の模様)
 売ったお蕎麦の数は約2400食。1日平均600食でした。600食というのは、営業時間が9時から3時頃までの6時間に約50席の座席が大体切れ間なく埋まっているという感じです。この間は、全員が体を動かし続け、あるいは声を出し続けという感じでして、閉店頃には体がぐったりという状況でした。

 私は、2日間参加しまして、1日目は「水洗い」、2日目は「食券売り場」を担当しました。ここでは、食券売り場の感想を2つ。

1 お店の印象が勝負。「視覚」が大事。
  蕎麦祭りでは色々な店が多数出ていましたが、それぞれに特徴があります。例えば、看板一つとっても「北海道幌加内○×屋」というのと「さいたま蕎麦打ち倶楽部」という風に違う訳ですが、お客が受ける印象が相当違います。パッと見て、やはり前者がなんとなく美味しそうですね。実際は、使っている粉はほぼ同じ北海道産、製造技術も遜色ありません(むしろ、当方が上?)。
 はっきり違うのは、まさに名前だけです。お客の顔を見ていると、「さいたまぁ〜?(尻上がりに)」と侮蔑(ぶべつ)の目がありありなのです。そこで、急遽、使用している蕎麦粉が北海道音威子府(おといねっぷ)産の粉である旨を張り紙して視覚に訴える作戦にでました。これで、通り過ぎるお客の顔が随分変わりましたね。そして、呼び込みのせりふを次のようにしました。
 「蕎麦粉は北海道音威子府産の蕎麦粉、(鴨南蛮の)鴨は岩手県産、蕎麦を打っている人がさいたま県人です。」
 これで、お客の納得を頂いたのではないかと思います。

 蕎麦粉がさいたま県なのではないということは張り紙と呼び込みの声で一応納得して貰えたと思いますが、次は蕎麦うち技術の優秀さについてのアピールの必要があります。実際、我が倶楽部には全国規模で行なわれている段位認定試験で上位にある人材がほかに比べて圧倒的に豊富なのですが、そのような説明をしても分かりにくいですね。やはり視覚に訴える必要があります。
 実は、少し古いですがそれに最適の「絵」があります。当倶楽部のトップ4人がNHKのお昼のバラエティに1週間連続で出演し毎回ゲスト達に蕎麦うちを指導しているのです。その時の写真を大きくして掲げれば一発と思いますね。
 いずれにしろ「視覚」にうまく訴えるのが一番ということだと思えました。

2 客引きの勝負どころ
  お客は、お店の状況を眺めながら近づいて来て、お店の正面付近に来たところでお店をまじまじと眺め、正面を通過したところではもう既に次のお店などに視線と関心が移って行きます。したがって、勝負は近づき始めてから正面を通過する時点までの間です。
 この間に相手の目(耳)を捕らえて、必要な情報を与え続けなければなりません。前を通り過ぎてしまったら呼び戻すのは苦しいです。
 また、関心があるのか全く無いのかをよーく観察することが肝要でして、その答えはその人の体がこちらを向くかどうかにあるようです。つまり、体がこちらに向いたら、その気があると見てよい訳です。そうなったら、一気にその気にさせることが大切ということになります。 

 

18.10.31

水回しに少し開眼?

 水回しのポイントは「手早く均一に」ということで、その目標とする状態は「極短時間にホッコリしたソボロ状にすること」といって良いのではないか、と思います。
 
 ポイント「手早く均一に」について
 「手早く」;早くということの重要性を逆の状態から考えて見ますと、時間をかけてしまうと(極端には、そのままほっておくと)水でべとべとになったダマ状態の部分と粉状態のままの部分に二分されてしまいます。少し変な理屈ですがこれではつながりません。
 「均一に」;水と粉を出来るだけ小さい形状で合体させ、このことで効果的な糊化を促進させるということのようです。実際は、化学的な説明が出来るのだと思います。
 
 それらの具体的方策として、次のようなことが適当と思われます。
 「手早く」については、1回目の加水で最終加水量(前回の記事でいう含水量)の90%近くを一気に入れてすばやい攪拌をする。(残りの水で、調整する。)
 「均一に」については、指をしっかり立てて、鉢全体に目配りをしながら止まった粉がないように大きく腕(手)を回転させる。

 ちびちび水を加えながら、時間をかけるというのは絶対ダメです。
 スパッと決めてやることが肝要です。


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