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19.1.31

撥の持ち方

依然、「たかつく」の練習をしています。

 「たかつく」では、前回の記事にも書きましたが、2の糸を打った直後間髪をいれずに、という感じで、3の糸の押し撥をします。全体が早い撥さばきになりますので、この3の糸の音をきちんと出すのはなかなか難しいところがあります。しっかり意識しないと、音を出せずに抜かしてしまいます。

 そこで、撥の押さえ方。
 これまで私は、撥をはさむようにして持っていました。(写真でいえば、親指の力をテーブル面の方向への下向きにして撥を押さえ、人差し指側はテーブル面から上向きへの力で撥を支えるようにして持つ。つまり、撥の面を挟むような力の入れ具合です。)
 これを、今回少し変えてみました。写真のように、親指はテーブル面に平行に、撥を押すようにし、人差し指や小指はその力を支えるようにするのです。写真のように、撥を押し出すような感じです。
 こうすると、3の糸への移動が比較的楽にできるようです。

 この持ち方は、山田千里のビデオ教本の一番最初に出てくる「撥の握り方」で言っていることと同じです。ただ、このビデオは非常に極端な説明になっています。これを最初に見たときは、私はほとんど参考にしませんでしたが、ひょっとしたら、正解に近いのかも知れません。
 しばらく、これでやってみようと思っています。

19.1.18

撥を通して糸の太さを感じる

 相変わらず「たかつく」の練習を繰り返しています。なかなかうまく行きません。
 「たかつく」というのは、秋田荷方節の基本リズムパターンを口三味線で言い表したものですが、その内訳は次のようになっています。
 「た」‥2の糸を上から打つ
 「か」‥3の糸を押し撥で弾く
 「つ」‥3の糸を上から打つ
 「く」‥3の糸を下からすくう

 難しいのは、「か」です。
 「た」を打ったあと撥を一定距離滑らして「か」を出さねばならないのですが、その加減がなかなか体得できません。繰り返し弾きながら、指の当て方や持ち方、撥の向きを変えたり色々やってみるのですが、これだという所まで行き着かないのです。

 それでも、いまの時点で撥に関して言えそうなのは、
 @力を入れすぎない‥そうしないと高速機動に耐えられない。
 A人差し指側で軽く支える‥そうしないとふらつきがでてクリーンヒットしない。
 B主に薬指、中指で持つ‥腕を回転軸とした撥の振り方が容易になる。
 C撥を通して糸の当たりと太さ感じ取る‥感じ取ろうという意識が糸へのヒットを確実にする。

 このうち特にB、Cが大事のような気がします。
 Bの持ち方をすると、手の形が手の甲側に反ったような形になります。こうなると、撥の面と皮の面が平行に近くなって音もよくなるようです。ちなみに、上妻宏光の手の形はグッとえびぞりになっています。
 C撥先の尖った部分が糸に当たるのですが、撥を漫然と振るのではなく、この撥先が糸に当たる姿を意識しながら弾けば、当たりかたが確実になるようです。

 「たかつく」をなかなか乗り越えられませんが、乗り越えられたら本当に一山超えたという感じがするのではないだろうか、と思っています。

19.1.5

「ちりたら」と「たかつく」(2)

 平成19年が巡ってました。
 今日は仕事始めでしたが、会社の若手から年始の挨拶の後に「ところで今年は皇紀何年ですか?」と聞かれました。普通はありえない質問ですが、それに「皇紀2667年ですよ」と即答できる自分もおかしかったですね。
 さて、
 秋田荷方節は難曲です。
 昨年末から、「ちりたら」と「たかつく」をずっと稽古していますがなかなかうまくなりません。しかし、なかなか出来ないからこそ、基本に帰る良い機会だといえるでしょう。

 あれこれと基本に戻りながら試行錯誤をやっているのですが、その基本のひとつに「撥の持ち方」があります。

 私は、ゴルフもそうなのですが、持ち方が甘いようです。ゴルフの場合で言いますと、握り方が甘いとインパクトの時にクラブヘッドがくにゃっとなることがあります。だからといって、ぎゅっーと握ると体全体の動きが硬くなって、良いスイングにはなりません。ぎゅっーと握るというのではなくて、「軽くきゅっと掴んでいる」という状態が必要なのですね。
 
 撥の場合もゴルフのような悪い癖が出ていまして、掴み方が甘いようです。したがって、「たかつく」も「ちりたら」も「すくい」がピシッと決まりません。そうなると、早い撥さばきが出来なくなる訳です。

 具体的に撥の掴み方で改めたのは、写真の小指の部分ですが、撥の握りの角を小指の根元にしっかり合わせて、撥の握りの部分の平面を小指の側面にぴったりあわせるという点です。こうすれば、撥の平面が胴の皮に平行に近くなるし、手首の折り曲げ方も深くなるようです。撥もきゅっと掴めます。(実は、このことは、一番最初に先生からならったことでした。汗。)

 
 早い撥さばきで特に重要なのが、「糸の太さを撥先を通じて親指で感じ取る」ような感覚でしょうか。特に押し撥の場合は、それが大切のように思えます。

 何事もそうですが、意のままにならないからこそ面白いということがありますね。
練習曲;秋田荷方節

18.12.15

秋田荷方節

 今年最後の稽古でした。
 秋田荷方節の、最初の部分を2フレーズ程と、曲の中に出てくる「はじきの手」を稽古致しました。なかなかうまく行きませんが、確実にゆっくりと練習しています。早くなると、どうしてもいい加減になりますので、今回はふんどしをよーく締めて、確実にモノしたいと考えているところです。

 秋田荷方節の演奏は佐藤通弘のものを生で聞いたことがありまして感動した覚えがあります。その演奏は、今習っているようなオーソドックスなものではなく、3本の弦が常に鳴っていて、表現は悪いですがガシャガシャ、ガシャガシャ‥という感じでして、それでいながらそのなかにメロディが流れているという風でした。

 

 この曲はその他にも、「中村春子」と「はなわちえ」がそれぞれのCDにカバーしています。
 中村春子の荷方節はざっくりざっくりと思い切った音使いで迫ってきます。
 はなわちえは、オーソドックスですが個性もちりばめながら美しくまとめる、という感じでしょうか。


 難しい分、華やかな曲ですので、ファイトが沸いてきます。

練習曲;秋田荷方節

18.12.13

「ちりたら」と「たかつく」

 <今日もオタク系です>
 「ちりたら」はあいかわらずうまくいきません。が、少し改善。
 ひとつには、音が粒だっておらず、だらだらーとなし崩しになっているのです。
 これを改善するために、左手の動きを一生懸命に練習する訳ですが、もう一つのヒントがありました。それは右手(撥を持った手)を大きく振り込んで弦を打つということです。こうすることで、少なくとも「スクイ」の音が強く出てきますし、全体のメリハリもよくなるようです。つまり、小手先でちょろちょろっとやっていると音もぐにゃぐにゃになってしまうということなのでしょうか。

 つぎは「たかつく」。
 「たかつく」は、荷方節に特有の小撥(こばち)を口三味線で表現した言葉です(荷方節では、たかつくたかつくたかつくたかつ‥‥というリズムが続きます)。
 今日の稽古では、一拍目が強拍になるようにという指導がありました。
 それを受けて今日の発見ですが、「たかつく」の「た」を強く打つと、その反動での「か」がうまく繋がるように思われます。「た・か・つ・く」という風に均等に撥をさばくと、一音一音に力が入ってしまって、かえってよたよたした感じになってしまいます。
 これまた、メリハリをつけて弾くことが肝心ということになるようですね。

練習曲;仙北荷方節/秋田荷方節

18.12.8

ちりたらの「ら」-その2

 <今日もオタク系です>
 本日は、大東亜戦争開戦記念日。
 我が海軍は真珠湾に大打撃を与えて意気揚々として帰投しましたが、不肖私は稽古の終った後打ちのめされて帰宅しました。

 やはり、「ちりたら」がうまくいきませんで、その点を先生から再度指摘されました。
 今後さらに要演練な訳ですが、そのポイントはやはり「」です。前回も書きましたようにこの「」は、左手を一杯に伸ばした状態から、人差し指で第3弦を弾いて、再び左手を一杯に伸ばすというプロセスです。先生は繰り返し繰り返しこの点を指導されますので、非常に大事な指さばきであるということが言えるようです。
 このポイントについて私なりに少し気づいたことがあります。
 それは、「」の前の音の「」です。
 この「」は、第3弦を開放で「すくう」のですが、その際に左手を一杯に伸ばすようにするのです。このことで、「の際に左手を一杯に伸すのではなくて、その前段階の「」で伸ばす処置を終えておくという考え方です。どちらでも同じようですが、意識の違いで少しづつ差がでてくるのかもしれません。

 もう一つ、ポイント。
 それは、左手の親指の位置にあるようです。
 先生から「親指の工夫などをしながら練習してください」などという指導がありました。いろいろやってみると、棹を浅く握った形に左手を作ると人差し指の動きが悪くなります、少し深めに握ると弾きやすいようです。(親指を下側から回しこむようにして棹を持つような感じ。)

 
 本日一応、仙北荷方節が終わりました。
 この曲は本来三味線が活躍する曲ではなく歌と尺八が主体のようでして、三味線は前奏及び後奏の部分を弾くだけのようです。
 一方、秋田荷方節は前奏部分が非常に難しいので、この仙北荷方節の前奏部分で代えることがあるようです。
 先生のデモをお聞きしましたが、たしかにえらい難しい運指でしたが、ひと段落したら挑戦したいと思います。

練習曲;仙北荷方節/秋田荷方節

18.11.11

ちりたらの「ら」

<今回の記事はオタク系です。>
 「ちりたら」の「」は、人差し指で弦を上方へ引っ張るような形で弾きます。(弦に直角方向に弾じくのではなく、弦に沿わせるような弾じきをします。)
 その動きを少し詳しく書きますと、@写真のような手の形を作り、A上に書いたようにして人差し指で弦を弾じきますB弾じいた後の手の形は再び写真のような手の形になります。これが「」です。

 この「ちりたら」の速さは、行進曲の1拍分くらいの時間内に4つ音を入れるくらいの速さです。したがって、実際は写真のように手を伸ばすような余裕はありません。どうしても、指先だけでちょっと弾じくという感じになってしまっています。これでは、はっきりした大きい音が出ません。
 あせってしまって、ちょろちょろっとした弱弱しい「ちりたら」にならないように、はっきりした力強い「ちりたら」にするためには、手を大きく動かすことが肝心でありまして、それはこの最後の「ら」の弾き方次第ということのようです。実際はなかなか難しいですが、少なくともそういう意識をもってやりなさいという教えです。

 仙北荷方節の稽古は、少し進みました。
 調子は本調子です。地理的にも近いところだからでしょうか、前回習った本庄追分に似ています。
 また、この曲は一風変わっていて、三味線は前奏部分で活躍しますが、曲が始まると演奏を止め、合いの手に少し音を出す程度になります。歌の部分は尺八が入るようですが、こういうのを「竹もの」というそうです。

 左の写真は「ら」を弾じく直前の状態です。この形から、人差し指を、弦に対して直角ではなく、弦に沿わせる形で(引き上げるような格好で)弾じきます。

 

練習曲;仙北荷方節

18.10.13

撥の補修

 撥は鼈甲で出来ておりまして、使っているうちに先端部分がすり減ってきます。そしてその先端部分が薄くなって、少し欠けてしまいました。
 こうなりますと、弾いていいる最中に急にひっかかったりして大変弾きににくくなりますので、先端部分を尖らせる必要があります。このために、撥先の直線になった「辺」の部分(写真の右側に当たる部分)をすっぱりと削り落とすことになります。全体として短くなりますが、これはやむを得ません。ただし、適当にサンドペーパを掛けたりするときれいな直線が出ませんからなんらかの工夫が要ります。
 その工夫は、蕎麦包丁の研ぎの方法のなかにありました。(蕎麦包丁の刃を直線にするためには、以下と似たやり方で行ないます。)


 金属の直線部分に撥の先端を沿わせて、削り落としたい部分をその直線からはみ出るように固定します。
 この状態でやすりをかければ、所望の幅だけ、直線で削り落とすことが出来ます。
 基準となる直線を持った金属として、古くなった鋸の背を使うことにしました。

 適当なとんがり部分が出来上がりました。
 
 この後、少し薄くするためにサンドペーパーをかけました。撥が短くなると、それだけ「しなリ方」が小さくなって、固い撥になってしまうからです。また、私の撥はもともと少し固めでしたから、ついでに少し薄くすることにした訳です。
 サンドペーパだけでは、傷が残りますから、最後の仕上げには磨き砂成分の少ない歯磨きを使いました。(下の写真です)

 

18.10.7

皮破れ防止策

 昨日まで続いていた雨がやみ、一気に秋晴れの土曜日になりました。
 わずか1回の経験ですが、要注意の気候です。
 といいますのは、先日my三味線の皮が破れましたが、それは数日間湿気続きの日が続いた後、一気に好天になった日でした。つまり、皮破れの原因は、湿度による皮のたるみとその直後の急激な乾燥であると私は考えたのです。

 そこで今日は、稽古を始める前に、今日のような条件の時に皮が破れやすいのではないか、と先生に質問をしてみました。
 しかし、その答えは、予期に反して、いかにして皮に湿度を与えないようにするかというものでした。つまり皮破れの原因は、三味線に湿度を帯びさせることによるという判断をされているのですね。
 例えば、
 ・湿度が高くなりそうな場合、空調を効かせる。(湿度が高くなるのは、天候ばかりではなくて、部屋の中に人が密集したときなどのような場合もある。)
 ・雨の日に外から帰ってから三味線を弾く場合は、服を着替えてからにする。
 等々…、
 要は、湿気を帯びそうになる前にその芽を常に摘むようにするということ、だそうです。

 また、皮が破れるのは使用期間の程度にもよるということでして、人為の及ばないところが大きいということのようでした。

 私の推論は、1回限りのもの。先生はウン十年の経験によるもの。
 もちろん、先生の教えを守らなくてはいけません。

 さて、曲の方は、本日から「仙北荷方節」。
 今日は基本構成フレーズを習っただけで、一体全体どういう曲なのか分かりません。
 未知のジャングルに第一歩を踏み入れました。
 

練習曲;仙北荷方節

18.9.28

撥さばきと「間(ま)」

 庄内追分を練習中ですが、やっと最後まで行き着きました。
 それで今日は、最終的なおさらいになるはずでしたが、全体が長い曲なので消化不良となっており、新しい曲に取り掛かるのは次回からということになりました。

 たしかに消化不良ではありますが、わたくし的にはリズムがよくなったと感じています。(先生からもそのようなお褒めの言葉を頂きました。)
その要因は、自分で言うのもなんですが、一言で言うなら「間」がうまく取れているということではないでしょうか。
 基本リズムは「タータ、タンタッ」という形をしていますが、このうちの最初の「ター」と最後の「タッ」が肝心のような気がします。

1最初の「ター」
 基本的に「押し撥」という基礎テクニックを使うのですが、前にも何回か書いたように(実際なかなか出来ませんが)、撥で打った直後に皮を一旦グッと押さえることが非常に大切です。この押さえている僅かな時間が適当な「間」になるのですね。

2最後の「タッ」
 この「タッ」は、基本的には撥で掬(すく)って(スクイ)音を出すのですが、肝心なのはその直後の撥のさばき方でして、掬った直後にその撥を空中で一端停止する、またはやや高い位置に持って行く(皮から遠い位置に離す)のです。これによって、僅かな時間の「間」が出来ます。そして、その位置から次の小節の頭の音を打ちに行く、という格好なのですね。
 このような適度な「間」がないと、全体にあたふたとした演奏になってしまいます。

 その他注意を受けたこと
 左薬指による弾きが早い、との指摘を受けました。私としては、付点音符の感じが良く出ていいのではないかと思い、意図的にそうしていたのですが、言われてみると確かに早すぎでして、あたふたとしたゆとりのない演奏になってしまっていました。
 そういえば、その昔、高校時代のブラバンでの演奏で、かってな思い込みで付点の長さを間違って吹いていたことがありまして、先生からきつく指導を受けたことがありました。そのことを今もしっかり覚えているのですが、思い込みが強い性格は直っていないのですね。

 

18.9.24

撥の性能

 破れた三味線の皮の張替えが終わったので受け取りに行って来ました。

 今回、皮を張り替えるついでに、これまでのやや甲高い音を和らげ、しっとりした粘りのある音にして貰いたいという注文を出したのですが、結果は、やはり甲高い音が残っておりました。私としてはあまり満足できる状態ではなかったのですが、私もまだまだ初心者のレベルですから概ね可として、受け取ることにしました。甲高い音の出る原因は@三味線の構造的なもの、A奏法が未熟、B耳が未成熟、などに求められるかもしれませんが、良く分かりません。これは、今後関心をもって稽古していきたいと思っています。
 
 さて、修理の終った三味線をあれこれと試し弾きをしている際に、撥によっても音色がだいぶ違うという話になりまして、水牛製の高級撥を試すことになりました。
 これで試し弾きをすると、確かに音が良い。更には、楽に振れて楽に糸に当てられるのです。ゴルフやテニスでいうところのスイートスポットにうまくヒットしている感じなのですね。やはり、道具というのは大事です。
 私が持っている撥と比較しますと次のようです。
 私の撥は、撥先は一枚鼈甲、台はいわゆる練り物です。私の習っている三味線の先生も少し固いですね、とおっしゃったくらいで鼈甲部分が比較的厚く、根もとの部分から僅かにテーパーになっています。(この点は、少し削って改良しました。)
 一方、試弾した水牛製の撥は、形状的には、@全体のサイズは私のものと同じくらい、A鼈甲部分の幅と厚みは同じくらいですが、その長さがやや広くなっています(この分、鼈甲の使用量が多いということです)。このためか、撥先が柔らかくなっています。
 また、B重量的には、やや重いのですが、それだけでなく慣性モーメントが大きい(先端付近が重い?)ように感じました。練り物(=普及品。プレス加工)と違って、専門家による加工だからということでした。とにかく実際のところ、鼈甲部分のしなりが適当でして、皮を押さえる感触、スクイの感触ともに良好です。そしてなにより音が良い。

 上の文中で例えましたが、ゴルフクラブやテニスラケットのスイートスポットに当たる感触、というのが一番わかりやすいのではないでしょうか。クラブやラケットについては、科学的な解析が相当に行なわれているようですから、三味線の撥にもそれが適応されると良いですね。

 それにしても、あの撥、欲しかったなぁ。
 あの感触はしっかり覚えたので、更に撥の改良をしてみようかな。

18.9.7

皮がゆるいと腕が痛くなる

 先日皮が破れました。
 修理に持ち込むのは、少し先にする予定ですので、その間は破れた部分にガムテープを張って練習を続けています。(写真は、見苦しいので掲載しません。)
 音は、当然、ボコボコ音です。ただし、思ったよりひどい音ではなく、軽く弾けばツーンという、そこそこの音がします。したがって運指や撥さばきの練習は十分出来るのですが、二の腕と手首がめちゃくちゃ疲れます。やりすぎると腱鞘炎になりそうな、そんな疲れ方です。
 その原因ですが、皮の張りにあると思われます。ゆるいと、反発力が無くなりますから、深いぬかるみを歩いているような状態になるということのようです。それで、腕が痛くなるのでしょう。
 つまり、皮がぴんと張った状態というのは、撥で叩いても適当な反発が得られて、まさに太鼓を叩いているのと同じなのですね。
 ということは、先生の指導にもありましたが、太鼓と同じようにスナップを効かせて叩くというのが大事だということなのでしょうか。

 皮が破れたおかげで、三味線の胴は太鼓なのだなぁ、と実感したことでした。

18.9.4

皮がブレーク(泣)

 9月3日〜4日にかけて、皮が破れました。
 4日の夕方、箱を開けて弾こうとして発見したのですが、とてもとてもがっくりしました。
 振り返ると、その数日前あたりから、少し甲高い音になったような気がしておりましたが、それは関係あるのでしょうか。
 前回皮を張って丁度2年です。
 少し、強めに張ったのも一つの要因になっているのでしょうか。
 
 ここ数日の天候を調べてみますと、次のような状況でした(湿度のデータが無いのが残念ですが)。


次のデータは、私が住む市における、
月日/降水量/平均気温/最高気温/日照時間です。
 
8月30日/2/25.0/27.3/0.4
8月31日/0/25.2/32.1/10.0
9月01日/3/21.2/23.10.5
9月02日/0/23.3/30.4/8.9
9月03日/0/24.9/31.9/9.4
9月04日/0/25.5/31.7/9.5
9月05日/0/27.5/34.3/9.2

 データを見ますと、1日には雨が少し降っており、日照時間も30分しかありませんから、ほぼ一日間、湿度が高い状態であったようです。
 それがその翌日から、最高気温が30℃以上、日照時間が約9時間で好天が続いています。
 この落差が破れる原因だったのではないかと思っています。

 腕前がブレークする前に、皮がブレークしてしまいました。(トホホ…)

18.9.2

微妙な間(ま)をとる工夫

 今習っています本庄追分の前奏部分には、特徴的なリズムが2箇所ほど用いられております。

 その一つは、3連符です。
                                 ┌3┐  
 この部分は、口三味線で書けば、「ちりら、つーぅん」(♪♪♪、♪〜♪)ということになりますが、この3連符の演奏が早くなる(走る)傾向になり、それに加えてすぐ次の八分音符に行こうとするのですね。こうなると、あたふたとした落ち着きの無い演奏になってしまいます。話にたとえるなら、早口で喋るので何を言っているか分からん、といったところです。
 これにどう対処するかといいますと、意識してゆっくりと3連符を弾き終わったところで撥を弦から離して空中で待機させる格好にするのです。こうすることで、一瞬の間(ま)を作り、走りだそうとするのを防止する訳なのですね。
 ここでは、間を作ることの目的のために撥をうまく使うと言いましたが、本来の撥の使い方はそうではなく、撥を一定のペースで上げ下げすることによって正しいリズムを作っていくことに眼目があります。

 さて、もう一つ決定的に特徴的なリズムがあるのですが、それは曲の途中でいきなり「転拍子」をするというものです。
 最初にこの転拍子の部分を聞いたときには、なにか間違いではないかと思いましたが、そうではありませんで、実は確信犯?なのです。

 この曲は本来、4分の2拍子で出来ているのですが、前奏の途中に4分の3拍子が入ってきてそれが6小節続き、再び4分の2拍子に戻って行くのです。つまり全体のうち6小節だけが4分の3拍子になっているのですね。

 CDで異なる奏者の3人の曲を聴き比べて見ますと、1曲がこの転拍子を使っており、他の2曲は転拍子をせずに演奏していました。先生に言わせると、この転拍子するのが正規のスタイルであって、「これがなんともいえない良いところなのです」ということでした。確かに、そう思って聞けばそうでしょうが、予備知識なしにいきなり聞かされれば、おっととと、とずっこけてしまいそうです。賛否の分かれるところですね。

 さて、その転拍子をして4分の3拍子になった部分ですが、「いち、にぃ、さん」という感じで弾き、太字の「」の部分を遅らせ気味にします。つまり、ここに間(ま)をもたせなさいという教えです。
 では、その間をどうやって作るか。
 これは「にぃ」の部分で音を良く振り(ビブラート)なさい、というご指導でした。

 本来、「振る」ことは三味線テクニックのなかでも非常に重要なテクでして、いい音(音楽)を作るためのものです。先生の演奏を見て(聴いて)いますとほとんどこの「振り」が入ってます。
 「振る」ことは、本来この考え方の奏法なのですが、この曲の場合は振ることで間を作るという効果が得られる、ということのようです。
 つまりは、常に伸びのある良い音を出すようにして、せこせこした弾き方をしないということが原則のようです。

 さて、これはこれで置いときまして、ではなぜ、こういう間のとりかたをするのでしょうか、また、いきなり転拍子を取り入れているのでしょうか。
 私の独断では、
 遊び心。
 (これをやり始めた人の、にんまりした顔が目に浮かびます。)
 いかがでしょうか。

練習曲;本庄追分

18.8.31

唄の稽古

私が通っている教室では、唄も教えています。
 今日は私の稽古が終った後に唄の稽古が行なわれていましたので、しばらく見学を致しました。
 先生は、この教室の大先生の奥様で普段は主婦をしておられますが、れっきとした民謡のお師匠さんです。非常に艶のあるお声をしておられます。
 今日の生徒さんは、プロ?(セミプロ?)の○本さん。妙齢のご婦人(左写真太鼓を叩いている方。)です。
 そして、伴奏は大先生の息子にあたる○寛先生です。

 今日の練習曲は、なんと私が今習っている「本庄追分」です。
 ○本さんは、絶妙の節回しで歌われるのですが、師匠からは色々とご指導が行なわれます。
 時々、私はこうして脇から稽古風景を聴くことがあるのですが、毎回非常に微妙な発声法の指導が行なわれています。
 今日も、歌いだしの「はぁ〜」に何回もダメがでます。この際には、もちろんお師匠のお手本の歌い方が示されるのですが、それを言葉で表すときの言い回しが凄いのですね。例えば「(声を)まっすぐ正面に出す」等はまだいいのですが「声を置いてくる」などどいう言い回しについては、まったイメージすら湧きません。しかし、師弟間では、「あぁ、あのことか。」てな調子で通じているのです。
 また、歌詞の言葉のひとつひとつが非常に大切にされていまして、細かい節回し(イントネーション)にまで目配りがされております。
 これは、西洋音楽の楽譜では到底表現できません。
 さすがにプロの稽古風景といった感じです。

 他の曲の場合もそうですが、唄のメロディと伴奏のメロディが大体の場合異なっていますので、歌いながら弾くというのはなかなか簡単ではありません。しかし、伴奏は結局は分散和音となっている訳ですからなんとかならないかなぁと思ってはいます。


 私の三味線の稽古では、リズムの取り方について指導を戴きました。
 この辺のところは、やはり直接習わないと分からない点ですね。

 弾き(はじき)の際にきれいな音が出ない件を質問しましたが、棹と体の位置関係を最適にすることが大切ということについてご指導がありましたが、結局は実際に先生の手の動きをよく見てその音をよく聴いて、自分で試行錯誤して研究しなさいということでした。

練習曲;本庄追分

 

 

(↓に続く)