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18.5.14

素焼きの前に割れました
 5月3日に挽いた焼酎サーバーが乾燥中に底が割れてしまいました。
 割れ目の状況を見ると、外側と内側から引っ張られて裂け目を生じたような割れ方をしています。
 西○先生の話では、底が厚かったからである、ということでした。
 では、なぜ厚いと割れるのか。
 たぶん、円の外側の乾燥に比べて内側(中心側)の乾燥が遅くなるので、内側は外側に比べて遅れて乾燥していき、このために内側に引っ張る力が発生するからではないでしょうか。
 底の場合は特に、肉が厚いと、乾燥の度合いに差ができやすいからではないかと思います。
 
 そういえば、底を削るときに少し柔らかかったので、底が薄いと誤判断したのかもしれません。
 いずれにせよ、残念無念・・・。

 底を割ったら、底が抜けて縦に2つに割れました。
 苔球置きかなにかにしてみましょうか。

 ひだりの写真は、スプーン。
 大まかに成形して、乾燥させ紙やすりで仕上げる算段です。

 4本目に取り掛かったところで、つい油断がでて落としてしまいました。
 
 白色をしていますが、半磁土という土です。
 色が白いので、釉薬がきれいに出ます。
 何色にしようかしら。

18.5.6

木の葉天目に接近(8)

しぶとく木の葉天目をやっています。
 釉薬は蕎麦釉です。やはり蕎麦釉の方が木の葉が良く出るようです。

 今日の発見は、太陽光の下で見ると大変鮮やかに見えるということです。これが、普通の灯りの下でも出るようにならないかなぁ、と思います。

 河井寛治郎さんの「驚いている自分に驚いている自分」の心境です。

 次の目標は、より鮮やかにすることと、デザイン性を持たせることです。

18.5.3

今日の成果、サーバー他

 今日は、連休5日目。特にどこに行く予定はなく、本焼きの窯当番を午後から行なうことにしました。
 
 最初に作ったのが、焼酎サーバーと中型の深皿。
 サーバーは、比較的手早く出来ました。
 天気も良かったので、乾燥も速く、作業効率抜群でした。
 また、冬場は冷たかった水道水も心地よく、いよいよ陶芸の季節だーッ。

 右の皿は、木の葉天目用です。
 ろくろで挽いたあと、乾燥が速いと器の表面がカリッと薄く固くなりますので作業効率が良いばかりでなく、全体を薄く削りだすことができます。これも気持ち良い。

 いずれにせよ、陶芸は夏場が旬です。
 やちむんの里(沖縄県読谷村)を思い出します。

 時間が出来たので、備前の土を使った酒器を挽きました。備前の土は挽きやすく、薄めの器が出来ます。

 真ん中と左上の丸い器は、この後に注ぎ口と「つる」を取り付けて急須タイプの徳利にする予定です。

 左下の器は、やや大きめですが、冷酒用の盃です。
 蕎麦をたぐりながら、これで一杯・・。


 ・・・どうも、お酒に関係のある器類が多いですね。

18.5.2

若い人は感性が違うなぁ

 今日は、ゴールデンウイーク4日目。
 以前買っておいた粘土が家にありましたので、娘にコーチしながら、遊んでみました。

 まず、下の娘まりちゃんの作品。
 粘土の縁を乾かさないように、という程度の注意を与えたのと、要所で少し手を貸したのですが、第1作にしては見事な植木鉢が出来ました。
 顔の部分のふくらみもいいアイデアですし、いい表情がでています。
 これをサッサと作りましたので、ちょっとビックリです。

 美術系の専門学校に通っているだけのことはあります。
 次は、上の娘りょうちゃんの作品。
 こちらは、コップ作りをアドバイスしましたので素直にコップ作りが始まりました。
 こちらも、初めてにしてはGOODです。
 取っ手の上にのっかっているのは、ハムスターです。
 へーっという感じ。
 こういう発想はでてきません。
 良く見るとこちらも良い表情がでています。

 ちなみに、りょうちゃんのお仕事はデザイナーさん。
 陶芸の技術が少し身につけばアッと驚くようなモノが出来そうです。

 最後は、お父さんの作品。
 オリジナリティ≒0の物真似作品です。
 作っている時にりょうちゃんから、目が大きいと指摘を受けました。そのときはあまり気にならなかったのですが、こうして見ると、たしかに大きい。おまけに右目が大きいですね。デザイナーさんの目配りは確かです。また、表情の付け方について、りょうちゃんから逆にアドバイスを受けました。
 
 あまり細かいところを気にせずに作ったのですが、もう少し気配りが必要ですね。



 

18.4.22

今日のろくろ作業

 人に差し上げるのに、名前入りのコップというのは割りと喜ばれるように思います。作る側としては、作品自体のできが多少悪くても名前が書き込んであると、それがカバーできるので、安易な道かもしれません。でも、今のところはそうでもしないと喜んでいただけませんので、当面はこの手を使う予定です。
 本日は、特にこれを作るというものがなかったので、とりあえずコップを挽くことにしました。
 
 大きさは、少し大きいかなぁというぐらいの感じで作れば丁度よいようです。焼き上がりで1割から2割小さくなりますのでその分大きめに作らなければならないのですが、その程度は、この「少し大きいかなぁ」という感覚なのですね。

 今回は、全部にえくぼを入れました。こうすると持ったときに手になじんで安心感が出ます。

 

 木の葉天目を焼くのに、皿を作りました。

 作品の出来上がりを良く見ると底の部分がリング状に盛り上がっている場合があるのですが、今日、その原因が分かりました。
 写真の右側の皿の底に少し白くなっている部分がありますが、この辺がリング状に少し盛り上がっています。これは、カンナなどを使って器の裏側を削るときに、土が軟らかいと、裏側から土を押し込んでしまうからです。(裏から押し込まれて表側が盛り上がる、ということです。)

 少し固めに乾燥してから作業をするとか、押さえ込まないようなカンナの使い方をするなどの工夫が必要と思います。
 
 いずれにせよ、土の状態に対する想像力が必要ということですね。


 

18.4.18

掻き落とし(3)

 掻き落としの作品が焼き上がりました。
 奥のものはどんぶり、右側のものはコップです。
 
 今回は、着色に呉須を使ってみましたが、思ったよりきれいな色がでました。

 呉須と言えば通常は青色(コバルト)ですが、市販のものの中には写真のような桃色もありますし、目玉には黒色を使用しています。

 窯の蓋を開けたとき、きれいな色合いと透明でつるつるの肌合いが見えたとき、ほんの一瞬ですが感動を覚えます。
 なにかの抽選に当たって、「やったー」というあれに似ています。

 素焼したものがあと数点ありますから、それらは何色で塗ってやろうか・・。
 あぁ、それを考えると今夜は眠れない・・・。

18.3.22

備前焼に再挑戦(2)

 備前焼の、あの枯れた風合いは還元焼成によるものだそうです。
 作業場の窯は電気窯でして、何らかの装備をすれば還元状態を作れるそうですが、それがないので今は酸化焼成しかできません。

 還元状態を作る簡易な方法に「さや」を用いる方法があるとのことで、今回それをやってみました。
 「さや」とは、陶器で作った一種の甕(かめ)でして、この中に作品を入れて焼くことで酸欠状態を作ってやるということのようです。ただし、蓋をするだけではだめで、木炭(または籾殻)を一緒に入れてやる必要があるとのことでした。

 今回は、木炭を作品に触れないような位置に入れ焼きました。
 出来上がりは、写真のような状態でした。

 右のコップの場合が顕著ですが、木炭に近かった部分(コップ手前下部)に、あの備前の枯れた風合いが出ています。まるで、炎にあぶられたような感じです。そこの部分を少し離れると、黄金色の「てかり」が出ています。金色の釉薬が掛かったような感じになっているのです。
 この黄金色状態は、中央の杯に良く現れています。
 これらは、明らかに木炭の炎によるものと思われます。
 このことは、この木炭の炎の影響を受けない、器の内部が、灰色がかった地の色のままであったことからも分かります。
 焼き締めはしっかり出来ていまして、水漏れは水を入れた状態で数日間置いてもありませんでした。

 さて、次はどうしたら良いのでしょう。
 「さや」に籾殻をしっかり詰め込めば良いのでしょうか。
 であれば、木炭をぎっしり詰めても良いのでしょうか。

 その他、面白いと思ったこと。
 ・木炭の他はなにも入れていないのですが、明らかに釉薬成分が発生しており、高台の底面と「さや」がくっついている部分がありました。
 ・木炭は完全に灰になっているだろうと思っていたのですが、燃えきらずに芯部分固いままになっている木炭がいくつかありました。1200度、約10時間を生き残っているのですね。

18.3.10

河井寛次郎記念館

 河井寛次郎記念館に行ってきました。

 私が河井寛次郎に注目したのは、彼が陶芸家であるからだけではありません。
 陶芸家であることにとどまらず、彫刻家としても、デザイナーとしても、文筆家としても輝いているのです。
 
 記念館の案内パンフレットに次のような文言があります。
 「その生涯を通じ、いつも子供のように感動する心を失わず、ありとあらゆる物と事の中から喜びを見いだし、そして何より人と人生をこよなく愛し大切にした人でありました。寛次郎は『驚いている自分に驚いている自分』と語っております。」
 
 まず、彼は記念館(自宅)自体をみずから基本設計しているのです。
 狭い間口の表から、家の中に入るとまず木製の椅子と囲炉裏の部屋。一段高いところに座敷が二間(ふたま)。
 見上げれば2階が付いておりまして、居間、書斎、寝室・・でしょうか。
 京都の建物ですから、全体にこじんまりしています。
 ところが、この家は狭い間口に似合わず奥行きがあります。奥には中庭があって、それを囲むようにして陶芸の作業場、素焼き用の窯、そして登り窯まであるのです。
 このこじんまりした中に、多くの機能が美しく詰まっているのですね。

 調度品も、自身で作ったり(彫刻)、デザインしたものだそうです。
 要は、この空間全体を自分で作り上げているのです。

 上の言葉に戻りますが、『驚いている自分に驚いている自分』という言葉。
 素晴らしいものを素晴らしいと分かる能力、そしてそれを素直に感動できる能力。
 せせこましいこと一切無しの世界に生きておられる訳なのです。

 別稿で後白河天皇の歌を紹介しましたが、まさにこれと同じ心境ではないでしょうか。
 (遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけむ 遊ぶ子どもの声聞けば 我が身さへこそ動(ゆる)がるれ)
 河井寛次郎も、この世に遊びに来たのではないか、と私は思いました。

              

 素焼き用の窯と登り窯です。


 

 

 

 

 陶芸に関して、感じたことが2,3ありました。

 @基礎学力
  彼は、東京工大窯業科を卒業しています。当時のノートが展示してありましたが、実に緻密な内容でした。文字や図がものすごくきれいに書かれていました。自分が読めれば良いというものではありません。彼はこの後、京都市立 陶磁器試験所に入所するのですが、この過程でみっちりと基礎を作っているのです。その上で、数々の作品に繋がっているのです。我々のいい加減な陶芸とは雲泥の差です。
 A実証の努力
  釉薬の試験のためのテストピースがたくさんありました。上のように基礎を十分に作っていて、更にこの研究努力。我々のいい加減な陶芸とは月とすっぽんです。

 こういう状況を見ると、プロは見えないところで相当の努力をしているのだなぁ、と実感します。また、気に入らないものはその都度切り捨てて行っているのでしょうねぇ。だから、ほんとうに感動的なものだけが我々の目前に出てくる、ということなのです。
 Bデッサンなどの準備
  このようなプロは、絵柄をサッサかサーッと描いているように我々は思いますが、写真のようなデッサンを予めしているのですね。
 我々のいい加減な・・・・・止めます。
 Cいろいろ作品を見ましたが、これが一番気に入りました。
  粉挽き(こびき)の器に、スズメの絵柄を掻き落としで描いてあります。
  白化粧土が生乾きの時に、指で描いたような感じです。
  今にも飛び上がりそうな躍動感、目玉の生きの良さ。この2点が素晴らしいと思いました。

18.2.27

掻き落とし(2)

 お皿です。
 直径が20p位のやや大きめです。
 前回は、釉薬で着色しましたが、これには呉須を薄めにつかってみたいと思います。
 全部で、4枚あります。
 デザインがいまいちですが、楽しみです。

 これは我ながら面白いと思いますが、どうでしょうか。
 
 魚がお口を一杯にあけています。
 外は、沖縄風掻き落としのお魚です。

 横に倒して置いてもOK。
 もちろん、飲み物が入っているときは立てて使います。

 

 

18.2.12

掻き落とし技法

 2月5日に挽いて、白化粧土を掛けたあと時間切れになってしまった作品です。トロ箱に入れておいたのですが、丁度1週間。白化粧土の表面も、その下の土もしっとりしておりました。
 小型の掻きベラを使って、掻き落としを行ないました。
 絵柄は、例のお魚ですが、原図を家に忘れてきたので、急遽、写メールで送って貰い、それを見ながらの作業となりました。見にくかったのですこしイメージが違ってしまいましたが、作業自体はスムーズに行なえました。

 すこしスペースが出ましたので、シュノーケルのフィンをつけた足を描いて見ました。いかがでしょうか。
 同様に二つ目の椀です。
 ラーメンどんぶりくらいの大きさになるはずです。

 こちらには、ヒトデを描いてみましたが、娘(デザイナー)に軽く笑われてしまいました。
 
 デザインは、いずれも沖縄で使用されている図柄のパクリですので、すこし違ったデザインを考えようと思っています。

18.2.5

陶芸に没頭した日曜日

 夢中になるというのはこのことか。

 朝10時に作業場に到着。
 作業場に入るまでに、その日に行なう作業とその段取りは完全に頭の中に決めてある。
 今日の作業は、
 @沖縄風魚の絵の鉢×2個、焼酎グラス4、5個、皿10枚。焼酎サーバーの釉薬掛け。その他たたらで小ものを2つ。
 A段取りは、大きいものから成形し、乾燥していいる間に別のものに釉掛けを行い、最後に高台削り。

 作業時間は、準備と後片付けを含めて約10時間。(作業場を出たのが午後8時でした。)
 この間、ラジオを聞きながら、一言も発せず、まさに黙々と作業を進めていく・・・。
 おにぎりをほおばるときに手を休めただけで、あとは動き詰めの、あっという間の10時間でした。

 夢中になるとは、このことです。(バカになる、あるいはアホになる、と言い換えてもほぼ同じです。)
 (手が冷たかったぁ・・・・)

 

 写真は釉薬を掛けた状態。
 左側は、同僚の○村君のサーバー。 いつもの「赤イラボ」を使いました。
 右のは、○野さん用のサーバー。
 渋めの色調との御要望でしたから、今回「アメ釉」にトライしました。
 アメ釉は、深みのある赤とも黒ともいえる色合いです。
 側面に浅い溝をつけていますので、凹凸に応じた色が出るはずです。
 また、蓋の裏にちょっと遊びを入れました。骨壷に使う可能性があるそうなので、上を見上げれば何かが見える・・、という感じです。

 両方とも内側は、厚みのある白色の釉薬(「乳白」)です。

 

 
 沖縄風の魚の文様を書き込む予定です。
 写真は、成形して生乾きの状態の時に「白化粧土」を内側に掛けたところです。
 掛けるぎると水分のために崩れてしまいます。
 また、篩をかけないと「だま」が残りぶつぶつになります。

 若干、底に水分が溜まりましたので、ドライヤーを掛けました。

 

 
 上の写真の状態が適度に乾燥したら、高台(こうだい)削りを行ないます。
 この状態で、「掻き落とし」で魚の絵を描く予定でしたが、やや柔らかいのと時間がなくなりましたので、トロ箱に入れて明日以降の作業とすることにしました。
 サラダボールのつもりでしたが、大きめのどんぶり状になりました。ま、素人の場合、「何を作るか」というのではなく、「できたものを何に使うか」というスタンスが精神衛生上もよろしいようです。神様と共同で作業をするという高級な考えなのです。

 

 
 焼酎グラスです。
 これも、本当は真ん中奥のような、すらっとした形を狙ったのですが、共同作業中の神様の意向が強かったために色々な形になりました。ただし、深さを指先までの長さいっぱいいっぱいで作りましたから、高さはおおむね一定です。

 これには、「チタンなんとか」という釉薬を使う予定です。
 凹凸に応じて面白い効果が出てきますし、白系の色ですので食器にあっているかもしれません。
 
 奥は、成形完了した焼酎グラスです。
 上の方の乾燥が進んでいます。

 手前は、お皿。木の葉天目にトライする予定です。
 今回、直径を一定にしてみました。実用性を狙っております。


 ああ、くたびれた・・・・・・。

 

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